Pop!_OS 22.04LTSのリリース
2022年4月下旬、アメリカのLinuxハードウェアベンダー「System76」より Pop!_OS 22.04LTSがリリースされました。
Pop!_OS 22.04LTSは、System76のPCと、一般向けのディストリビューションとして提供され、安定版かつ長期サポートリリースとなっています。
Pop!_OS とはどんなディストリビューション?
Pop!_OS は2007年に登場した新しいディストリビューションです。
名称の表記は、「!」と「_」が必須とされています。
新興のディストリビューションでありながら、完成度の高さと、ユーザーフレンドリーな機能、リッチなデスクトップ環境を軽快に動作させる技術など、ユーザーの注目を集めています。
Linuxのディストリビューションの情報を提供する「ディストロウォッチ」のランキングでは、派生元であるUbuntuを凌ぐ注目度となっています。
ベースになっているのは、最新のLinux5.16カーネルとUbuntu 22.04LTSで、デスクトップ環境はGUNOME42をベースにしたオリジナルの「COSMIC」です。
元々はエンジニアやクリエイターに向けたディストリビューションだったようですが、実用性が高い独自の機能を盛り込みながら、無駄を削ぎ落とし、カスタマイズ性の高い構成にしていることで、一般ユーザーでも導入する人が増えているそうです。
Pop!_OSの紹介で、よく取り上げられる機能は、Auto-Tiling With Pop Shellと呼ばれる、タイル型のウィンドウマネージャーです。
これは、複数のウィンドウを開いたときに、ウィンドウ同士が重ならないように、自動で配置してくれる機能です。
Linuxディストリビューションでこの機能を装備しているのは、Pop!_OSの他には見当たりません。
配置されたウィンドウの場所や大きさは自由に変更でき、アクティブにするウィンドウの切り替えはマウス操作、キーボード・ショートカット、トラックパッドのゼスチャーでも行えるため、非常に効率のよい操作ができます。
グラフィックボードは、AMDとNVIDIAの両方をサポートしていることと、アクティブなウィンドウにシステムリソースを集める機能によって、ゲーミングPCのOSとしても効果的な動作をするといわれています。
また、この機能によって動画編集や、3Dアニメーションなどの作業効率が向上することも予想できるところです。
Pop!_OS はどんな人に向いているのか
Pop!_OSは、「はじめてLinuxに触れる」という人には少し敷居の高いOSです。
なぜなら、Pop!_OSは、インストールした時点では日本語環境が整っていません。
また、プリインストールのソフトはシステムユーティリティと、オフィススイート、エディタ、アクセサリーなど限られたものしかなく、ある程度の知識があって自分でシステムをカスタマイズすることが必要になるためです。
これまでにLinuxディストリビューションを扱った経験がある人や、SynapticやFlatpakなどのパッケージマネージャーでソフトの追加をしたり、システムの設定などを行える人であれば問題なくPop!_OSを扱えるでしょう。
Pop!_OSは、LinuxでゲーミングPCを仕立てたい人、動画編集、3DCGなど高負荷な作業を軽快に実行したい人、プログラマー、クリエイターなどが快適に使えるOSといえるでしょう。
Pop!_OS 22.04の特徴
Pop!_OS 22.04の特徴について見ていきます。
まずOSのベースは、2022年5月時点で最新であるLinux5.16カーネルとUbuntu 22.04LTSです。
LTSカーネルは、長期間に渡るサポートを提供する安定版であり、現時点の最新のハードウェアをサポートするものです。
デスクトップ環境は、2022年3月リリースのGNOME42をベースにした、オリジナルの「COSMIC」になっています。
22.04になったことによる変更点は以下の通りです。
OSのアップグレードに「自動更新機能」が追加
Debian、Flatpak、およびNixパッケージについて、自動更新のスケジュール化ができるようになっています。
手動更新の場合のシステムからの通知は、日次、月次でユーザーが設定することができます。
そのため、更新による作業の中断を最小限にすることができます。
ダークモードとライトモードの選択
GNOME42の機能の一つである、ダークモードとライトモードの選択がPop!_OSでもできるようになっています。
System76スケジューラによるパフォーマンスの向上
新しいSystem76スケジューラーによって、作業しているウィンドウにシステムのリソースを集めることで、システム全体のパフォーマンスを最適化します。
これにより、よりスムーズな操作性を実現します。
オーディオ処理システムとしてPipeWireを採用
22.04より、オーディオ処理のシステムとして、PipeWireが採用されています。
PipeWireは新しいオーディオシステムであり、今後、PulseAudioから置き換わっていくといわれています。
PulseAudioを使用するように構築されたソフトウェアは、PipeWireと互換性があるため、実行に問題はありません。
PipeWireの採用によって、オーディオ品質、制御、およびカスタマイズの向上が期待されます。
ソフトウェアマネージャーツール「Pop!_Shop」の改良
ソフトウェアマネージャーツールである「Pop!_Shop」は、このリリースにより改良されています。
・新しく追加、更新されたアプリ、パッケージ操作の信頼性の向上
・ウィンドウタイリングのサポート
・更新とインストールのプログレスバーのサポート
・「最近更新された」ホームページセクションをユーザーに提供しますボタン
・内部処理の改善による応答性の向上
設定アプリによるシステム設定の集中化
設定アプリにより、デスクトップの各種設定が集中化されています。
ダークモードとライトモードの選択、デスクトップ、背景、外観、ドック、ワークスペースの設定などを、設定アプリで全て行うことができます。
その他の主な変更点
・新しいサポートパネルにより、トラブルシューティングリソースにスムーズにアクセスが可能
・マルチモニターとHiDPIのサポートの改善
・リモートデスクトップで使用するためのRDPのサポート
・ジャーナルログを保存するための最大ディスク容量を1GBに制限
・最適な周波数でCPUを動作させるよう、CPUスケーリングガバナーを改善したことによるパフォーマンスの向上
・ファンキーな新しいユーザーアイコンの追加
などがあります。
前バージョンである「Pop!_OS 21.10」からのアップグレードは、コマンドラインで実行できます。
新規インストールは、以下の公式Webサイトのリンクから、GPUに対応したISOイメージをダウンロードすることができます。
Linuxディストリビューションを試すなら中古PCもおすすめ
Linuxにはたくさんのディストリビューションがあって、それぞれに特徴があります。
いろいろ試してみて、あなたに合ったOSが見つかると、PCを使うのも楽しくなります。
また、LinuxはWindowsに比べて動作が軽く、古いパソコンでも軽快に動作するものも多くあります。
ご自宅の古くなったパソコンを活用したり、テスト用に少し古いパソコンを安く買って試してみるのもよいでしょう。
おおまかな目安ですが、Intel製CPUであれば、第6世代以降のcore i3、第4世代以降のcore i5が積まれたパソコンであれば、Linuxディストリビューションでたくさんのことができでしょう。
このグレードのパソコンは、中古通販サイトを覗いてみると、ノートパソコンの安いものでは1万円台、高くても4万円程度で購入できるものが多くあります。
(デスクトップはもう少し幅があるようです)
店舗に行くのが面倒なあなたには、通販サイトがおすすめです。
各機種のスペック、細かな特徴まで掲載されているので、実機を見なくても安心して購入することができます。
最後に僕のおすすめの通販サイトのリンクを2つ貼っておきます。
Linux+コマンド入門 –シェルとコマンドライン、基本の力 [ 西村 めぐみ ]
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